担当:諸星賢治(MoDip)

国交省から「公共交通運行情報標準データ仕様(GTFS-JP)v4(第4版)」が発表されましたが、今すぐGTFSデータを作り直さないと、いけないのでしょうか。。。

今まで作ったGTFSデータが無効になるわけではありません。安心してください。
GTFS-JP v4ってなんですか?
GTFS-JP v4は、国土交通省の「標準的なバス情報フォーマット」として普及してきたGTFS-JPの新しいバージョンです。
ただし、”GTFS-JP”の定義が今までと変わっており、その点には注意が必要です。
今まで、”GTFS-JP”で定義されるデータは「標準的なバス情報フォーマット」と呼ばれるフォーマットの静的情報(停留所・時刻表・運賃など)のことだけを指し、対象はバスだけでした。
一方、今回のv4から、”GTFS-JP”は公共交通運行情報標準データ仕様のことを指すようになり、対象がバスだけでなく、公共交通全般およびシェアモビリティに範囲が拡大し、静的情報だけではなく動的情報(リアルタイムの運行情報)も含む表現に変わっています。
この定義の変更に伴い、今まで海事局が管理していた「標準的なフェリー・旅客船航路情報フォーマット」の他、デマンド交通を対象とした「GTFS-Flex」、シェアサイクルやシェアキックボードを対象とした「GBFS」についても、国内データ標準として”GTFS-JP”にまとめられています。

国際標準仕様GTFSと、GTFS-JPの違いは?
国際標準仕様GTFSは、鉄道やバス、フェリーなどを対象とした公共交通サービスに関する運行情報の標準データフォーマットです。静的情報である「GTFS Schedule」、動的情報である「GTFS Realtime」の他、2024年3月よりデマンド交通を対象とした「GTFS-Flex」もGTFSに含まれるようになりました。
GTFSのデータフォーマットを管理しているのは、カナダに拠点を置く国際非営利機関MobilityDataとなり、フォーマットのアップデートに関する提案や議論は、誰でも参加できるオープンチャットで日々活発に行われています。

一方、GTFS-JPは、国土交通省が所管しており、国内の実情を踏まえ、 Google マップ以外にも国内の交通事業者やコンテンツプロバイダ間でのデータ流通が円滑に行えるよう「国際標準仕様」のローカライズ仕様として2017 年に「標準的なバス情報フォーマット」として初版が作成され、2021年に第3版(v3)のアップデートが行われました。
国際標準仕様と異なり、仕様変更についてはオープンに議論されアップデートが行われる仕組みではなく、国土交通省が旗振り役を担うことで アップデートが行われます。
GTFS-JPは2021年以降大きな改訂が行われておらず、その間に国際標準仕様GTFS側では拡張機能の追加や仕様更新が進み、両者の差が徐々に広がっていることが課題となっていました。
GTFS-JP v4で何が変わったか?
まず大きなポイントとして、GTFS-JP v4が公開されたからと言って、これまでにGTFS-JP v3の仕様で作成した既存のデータや、国際標準形式に従って作成したデータをすぐに修正する必要はありません。
ただし、それ以前のGTFS-JP v3より前のバージョンで作成したデータについては、Google マップや、デジタルサイネージ向けソフトでも、将来的に利用できなくなる可能性があるため、データ形式のアップデートを検討しても良いかと思います。
GTFSデータのバージョンが、GTFS-JP v3より前かどうかの見分け方は、GTFSデータ(zipファイル)を構成する個別のテキストファイル「translations.txt(翻訳情報)」「routes.txt(ルート情報)」を見れば確認できます。

GTFS-JP v4の仕様書は、国土交通省COMmmmONS[コモンズ]のHPで公開されていて確認できますが、ページ数が膨大なため、GTFS Scheduleについて仕様書のポイントを解説していきます。
ここ数年の間にGTFS国際標準仕様の改訂が活発に行われ、それを踏襲する形でGTFS-JPでも拡張項目が多くあります。
■Flex拡張
デマンド交通を対象とした拡張仕様であり、今までGTFS Flexと呼ばれていた項目が、GTFS Scheduleに取り込まれた。これにより定時定路線型の乗り物だけでなく、予約制の乗り物がデータの作成対象になった。【2026年6月時点:Google マップ非対応】
■Pathways拡張<任意項目>
駅構内の通路やエレベータの有無、徒歩分数などが任意項目として設定できるようになった。【2026年6月時点:Google マップ対応】
■Fare V2 拡張
運賃フォーマットが更新されて、子ども運賃、支払い手段別運賃、時間帯別運賃など多くの運賃種別に対応できるようになった。【2026年6月時点:Google マップ非対応】
■国際標準仕様不足項目の追加
国際標準仕様にあって GTFS-JP v3 に反映されていなかったファイルや、フィールド(データ項目)が追加された。「attributions.txt[関係組織属性情報]」などが対象。
■ファイル、データ項目の必須、推奨、任意等の区分を変更
国際標準仕様、Google マップや国内経路検索サービスへの情報掲載基準を考慮して見直しを実施した。
■データ入力規則のルール化
各データ項目に入力する値の設定方法が具体的にルール化され、仕様書に追記された。
■GTFS-JP独自ファイル、フィールド(一部を除く)を参考情報に変更
今までGTFS-JP v3までは標準仕様であった日本独自の項目(ファイル名やフィード名の末尾に”jp”が付いているもの)は、標準仕様から参考情報に扱いが変わった。
どうしたら、GTFS-JP v4と認められるか?
国土交通省が令和8年度に実施している『 「交通空白」解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト』の公募要領を確認すると、鉄道、バスに限らず、タクシーやデマンドバス、シェアモビリティについても『運行情報については、「公共交通運行情報標準データ仕様書(GTFS-JP)v4」に準拠すること』と書かれていて、加点要素になっていました。

では、GTFS-JP v4の仕様を満たしたデータとは、どのような基準を満たしたものなのでしょうか。 公共交通運行情報標準データ仕様(GTFS-JP)をよく見ると、次のように書かれています。

これを少し噛み砕いて説明すると、以下のようになります。
- 必須項目の充足
仕様書上で「必須」と書かれているファイルや、データ項目(フィールド)がすべて含まれていること - 条件付き項目の確認
「条件付必須」と「条件付禁止」のファイルや、データ項目を全て確認し、データを作成する移動手段に該当するかどうかチェックすること - 入力ルールへの準拠
各データ項目の値の設定方法で、「○○しなければならない」「○○を設定する」「○○すること」「○○してはならない」「○○しないこと」のルールに従っていること
GTFSデータに関する専門知識のない方が確認を行うのは少し大変かもしれません。周りに頼れる人がいたら確認を依頼するのも一つの選択肢になります。
GTFSデータは「作る」から「活用する」時代へ
データは使われてこそ価値を発揮します。仕様書の第4部には「GTFS・GBFSデータ利活用事例集」が掲載されていて、Google マップ等の経路を検索するサービスの他にも、地域の移動手段を分析し計画策定に活かす事例も出てきていますので、この機会に学んでみてはいかがでしょうか。

参考資料
- 国土交通省COMmmmONS[コモンズ]
「公共交通運行情報標準データ仕様(GTFS-JP)v4」https://www.mlit.go.jp/commmmons/document/007/ - 国土交通省「GTFS-JPアップデート検討会」https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000206.htm
- 国土交通省「公共交通運行情報標準データ(GTFS-JP)に関する資料・検討会」https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000067.html

