ソウル訪問記 ソウルのBRT

担当:福本雅之(合同会社萬創社)

 先日、韓国の首都、ソウルに行く機会がありました。ソウルと言えば、交通の分野ではBRT(Bus Rapid Transit)が有名ですので、この機会を利用して見学してきました。

ソウルBRTの特徴

 ソウルのBRTは、ソウル市内の幹線道路に設置された中央バス専用レーンを利用しています(中央以外のバスレーンもある)。中央走行方式とすることに加え、バス専用信号などを組み合わせることでスピードが出せる走行環境を実現しています。

 ただ、走行環境以上にソウルのBRTが印象的なのは、とにかくバスの本数が多いということです。冗談抜きで、バス停にいると視界がバスで埋まるくらいバスがやってきます。

 このことからBRTの重要な要素として「Rapid」であることに加え、「物量作戦」=とにかくたくさん走らせる、というのが同等に重要であるということがわかります。運行時間帯も4~24時と早朝から深夜までひっきりなしにバスが走っています。これだけバスが走っていると、一般車がバスレーンに侵入する余地もありませんし、市民にとってもバスの存在感が強烈にアピールされるので、利用しようという気になるでしょう。

 実際に乗車して見ると、どの系統も本数が多いのに立ち席が出るくらい利用者が多いですし、老若男女問わず乗っています。これはソウルの地下鉄網が貧弱だからではなく、東京に匹敵する路線網の地下鉄が走っているにも関わらずバスが利用されています。これには、バスの大量運行に加えて、ICカードで利用する場合には4回乗換までは無料なので、利用者は系統をあまり気にせず、どんどん来たバスに乗っては降りることで移動する人たちが多いことも一因だと思います。

 さらに、幹線バス(ブルー)、支線バス(グリーン)、循環バス(ミドリ)、広域バス(赤)など色でバスの機能を別けているので、路線・系統を深く考えなくても目的地にたどり着くことができる仕組みがつくられています。

 公共交通を利用してもらうためには、「いかに余計なことを考えさせないようにするか」=わかりやすくする、ということが大切だと思っていますが、そのためにはソウルのようにバンバン走らせてアピールする、ということが重要だと改めて感じた次第です。

日本での類似事例

 ところで、日本でこういうことができているかところはと考えると、名古屋市の基幹2号系統と、大阪市の大正通がその代表例になるのではないかと思います。ソウルとの共通点はと言うと、一般車に妨害されづらい専用走行空間(名古屋市は中央バスレーン、大阪市は第2車線バスレーン)を確保していること、高頻度運行がなされていること、バスの利点である路線設定の柔軟性を活かしバスレーン区間前後に多様な目的地設定がなされていること、などが共通しています。