地域公共交通会議や協議会の資料作成のコツはなんですか?

担当:福本雅之(合同会社萬創社)

協議会の資料って、どのように作ればよいのかよくわからないなぁ

協議会の機能が「関係者による合意形成」であることを意識して資料にしましょう

 様々な地域の地域公共交通会議や協議会(以下、協議会等)に出席していると、協議のために出される資料の作り方がまずい例が散見されます。資料を作る側に悪意があるわけではなく、前任者から引き継いだやり方で良いと思っているだけなのでしょうが、「なぜこの資料を作るのか」「何のために協議を行うのか」をしっかりと考えれば、自ずから資料に記載する内容は導き出されるはずです。

 というわけで、「しっかりと考えて資料を作りましょう・・・」というところで終わってしまうとあまりにも不親切なので、“協議会等の委員の立場としてこのような資料を作ってくれると協議しやすい”というポイントを書いてみたいと思います。

何のために協議を行うのか

 協議会等で協議を行う理由は何でしょうか? 最大の理由は「関係者の合意形成によって適切な地域公共交通サービスを実現する」ことです。地域にあった公共交通サービスの実現に対して関係者が合意しているから、道路運送法上の手続きが簡素化されるなどの特例措置が受けられる訳です。

 したがって、協議される内容が「地域にあった公共交通サービスである」ということがよく理解でき、「それを実施することに合意して差し支えない」と判断できるように資料の記載は工夫をする必要があります。

わかりやすい資料作成のコツ

 資料作成の基本的な姿勢については上記の通りですが、具体的な資料作成にもコツがあります。以下ではそれについて説明しましょう。

資料の作り方① 議題番号と資料番号をそろえる

 会議には会議次第がありますが、この次第に記載する議題番号は、資料番号と統一しておきましょう(議題1:資料1、のように)。

 一つの議題に対して数多くの資料が用意され、議題番号と資料番号が対応していないようになってしまうと、議題の説明中にどの資料を見ているのかがわからなくなって迷子になってしまいます。

 協議会等で説明や質疑応答の際に迷子になるのを防ぐという意味ではページ番号も振っておくべきです。ただ、資料が直前まで差し替えられたりする場合には、資料全体で通しのページ番号を振ることが難しい場合もあると思います。資料ごとにページ番号を振るなどしておくとよいでしょう。

資料の作り方② 資料には「かがみ」をつける

 それぞれの議題の内容を説明する資料にはA4もしくはA3で1枚の「かがみ(鑑)」をつけ、議題の概要がわかるように、1)協議する内容、2)協議する理由、3)関係者との調整結果、を簡潔にまとめておきましょう。この「かがみ」の番号を議題番号と同じ番号にしておく訳です。

 路線図や時刻表など、詳細に説明する資料については「枝番」にして説明資料として後ろに添付しておくようにしましょう。

資料の作り方③ 協議のポイントを目立たせる

 それぞれの資料の中では、協議すべきポイントを目立たせるように工夫するとよいでしょう。例えば、路線やダイヤの変更を行う場合、変更箇所の色を変えたり、枠囲みにしたりすることでわかりやすくすることが有効です。

 資料だけでなく、口頭での説明においても何がポイントになるのかをしっかりと説明しましょう。

最後に

 やや荒っぽい言い方になりますが、協議会等に出てくる資料の中には「道路運送法の手続きのためには協議が必要なので、細かい中身は理解しなくていいからとにかく合意してくれ」と言わんばかりのものも残念ながら存在しています。ただ、こうした見かけ上の形だけを整えるようなやり口は協議会等の制度の趣旨に反すると言わざるを得ません。

 協議会等での合意によって、道路運送法本来の規制が緩和されたり、税金を使ったサービスが実施されたりするわけですから、委員には合意への責任が伴います。委員にその責任を負わせる訳ですから、資料を作る側(=事務局)には、納得して合意できるように説明を尽くす義務があります。

 是非、合意形成する側の立場に立った資料作りをしていただきたいと思います。