担当:福本雅之(合同会社萬創社)
コミュニティバスや補助をしている路線の評価をしろと言われても、具体的に何をすればよいのだろう?
その路線の役割を果たしているかどうかということと、利用者数や収支率などの指標の推移をチェックしましょう
コミュニティバスやオンデマンド交通を運行している場合や、民間バス路線に対して補助金を交付している場合、その自治体において財政負担が適切であるかどうかを確認するために、系統ごとに評価を行うことが必要です。
しかし、地域公共交通計画全体の評価と系統ごとの評価がごっちゃになっている自治体や、利用実績を確認しているだけで評価の体裁をなしていない例も少なくありません。
運行目的の達成状況を確認する
系統ごとの評価で最も大切なことは運行目的を果たしているかどうかを確認することです。コミュニティバスやオンデマンド交通であれば運行を始めた理由があるはずですし、民間バス路線への補助であれば、赤字補填をして系統を維持する理由があるはずです。これらの理由、すなわち、当該系統の運行目的が達成できているかどうかを確認することが評価において最も重要です。
しばしば、系統を廃止する理由として「収支率が悪いから」「利用者数が少ないから」といった説明がされることがありますが、指標の値が悪いことだけで廃止を判断するのはおかしく、あくまでも運行目的が達成できているかどうかが評価の第一基準であるべきです。
指標の推移を確認する
しかしながら、運行目的を達成しているからといって、利用者数や収支といった指標の値が悪いのはやはり問題ですから、これらの指標について確認することはしておきましょう。
ただ、これらの指標を他の系統と比較したり、単年度で見て判断したりするのはいただけません。
他の系統との比較には意味がない
コミュニティバス・オンデマンドバスや路線バスの評価をする場合、他の系統と比較をすることにはあまり意味がありません。運行している距離や運行便数、沿線人口などが異なるもの同士を比較すると、有利な環境にある系統の方が良い成績になるのが当たり前だからです。
指標の経年変化を確認しよう
むしろ、過去に比べて各指標の値が悪化していないかどうかを確認することがより重要です。指標の値が悪化しているとすれば、何らかのてこ入れが必要ということがわかりますし、逆に指標の値が良くなっているとすれば、その理由を把握し、より強化したり、その施策を横展開することが可能となります。
定期的に評価できる仕組みを作りましょう
系統別の評価は単発で実施するものではなく、定期的に実施することが大切です。定期的な評価を確実に行うためには、評価に用いる様式をあらかじめ定めておき、年に 1回数値を更新していくことが有効です。
例えば、岐阜県関市ではコミュニティバスの各系統を評価するためのシートを地域公共交通計画の中で定め、毎年1回、協議会に報告することをスケジュールに組み込んであります。
系統ごとの評価様式については、中部運輸局もサンプルを公表していますから、地域の状況に応じてカスタマイズするなどして活用すると良いでしょう。また、評価に関してはやはり中部運輸局が詳しいマニュアルを公表していますので、そちらも参照してみてください。