隣の市町が運行するコミュニティバスがGTFS対応したらしい。
そもそもGTFSって、なんなんだろう?
Googleマップと関係ありそうなんだけど…。
GTFSは公共交通に関する世界標準のデータフォーマットです。
データを整備する事により、利用者に公共交通の情報が届きやすくなります。
GTFSとは
GTFS(General Transit Feed Specification)は、経路検索サービスや地図サービスへの情報提供を目的としてアメリカで策定された世界標準の公共交通データフォーマットです。一定のルール(項目やファイル名の形式)に沿って作られたTXTファイル群で構成され、”公共交通の情報を利用者に届ける”手段の1つとして世界で普及が進み、多くの地域でオープンデータとして公開されています。バスだけでなく、鉄道・バス・船・飛行機など、様々な公共交通に利用することが可能です。
参考
- GTFSの生い立ちはコチラを参考に
オープンデータ標準を作る「GTFS物語」 - 国外のGTFSオープンデータが可視化されたWebサイト
Transit Visualization Client「travic」
GTFSの種類
GTFSは、大きく分けて2種類のファイルフォーマットが存在します。一つは、停留所の名前や位置の情報、運賃情報、定刻のダイヤ情報など、当日の運行状況等で変化しない静的情報を表現するもので「GTFS-static」と呼ばれます(一般的に「GTFS」と言うと、この静的情報を指すことが多い)。もう一つは、当日の運行状況や乗車人数など、時間によって変化する動的情報を表現する「GTFS-realtime」と呼ばれるものです。
GTFS-realtime(動的情報)形式のデータには停留所の情報など基礎的な情報がない為、単独では利用しても意味がありません。対応するGTFS-static(静的情報)と併せて利用することで、初めて利用価値が生まれます。この事から、「GTFS-realtime」は「GTFS-static」を補完し、提供する情報に付加価値を与えるものと言えます。
日本では
日本では、2017年に国土交通省により、インターネット等での経路検索におけるバス情報拡充を目的として、GTFSと互換性のある「標準的なバス情報フォーマット」が定められました。
「標準的なバス情報フォーマット」では、日本固有のバス事業者の事情も加味している他、日本国内の経路検索事業者の必要情報もカバーしています。このため、この形式でデータを整備する事により、Googleマップだけでなく、Yahoo!路線情報などの国内の検索サービスにも情報の掲載が可能になりました。「標準的なバス情報フォーマット」における静的情報については、「GTFS-JP」という呼称で、動的情報については、「GTFS-RT」という略称でも呼ばれています。
最近では、データ作成方法の研修会などが都道府県単位で開かれるようになり、データ整備に取り組む事業者や自治体が増えています。2020年10月25日時点で、【308事業者, 静的データ411種類, 動的データ42種類】がGTFS形式のオープンデータとして公開されております。
GTFSは難しい?
GTFSと聞くと、どうしても英語の説明が多く近寄り難い雰囲気を感じてしまいますが、静的情報だけを見てみると、利用者が公共交通に乗車する際に必要な情報に限られていて、複雑な定義をしているファイルはありません。
ZIPファイルの中に含まれるテキストファイルの中で、GTFS-JPとして必須なものを以下に挙げてみます。
GTFS-JPとして必須なテキストファイル一覧
ファイル名 | 概要 | 内容 |
---|---|---|
agency.txt | 事業者情報 | 公共交通の運行主体とデータ作成者を定義 |
stops.txt | 停留所情報 | 停留所の名称や緯度経度を定義 |
routes.txt | 経路情報 | 路線名などを定義 |
trips.txt stop_times.txt | ダイヤ情報 | 通過時刻形式のダイヤを定義 |
calendar.txt calendar_dates.txt | 運行日/区分情報 | バスの運行日(平日・土日祝)などを定義 |
fare_attributes.txt fare_rules.txt | 運賃情報 | 運賃情報(均一・対キロなど)を定義 |
feed_info.txt | 提供情報 | データの有効期限等を定義 |
translations.txt | 翻訳情報 | 停留所の読みや英語訳などを定義 |
また、1つ1つのテキストファイルの内容もシンプルです。サンプルとして中津川市コミュニティバスの「stops.txt(停留所情報)」を以下に掲載します。このファイルの中では、停留所の名称とID、緯度経度が定義されています。
データの作り方などは、また別の機会にご紹介をいたします。
参考資料
標準的なバス情報フォーマット広め隊
国土交通省「経路検索の充実とバスロケデータの利活用 ~標準的なバス情報フォーマットの拡充~」
オープンデータ標準を作る: GTFS物語
Transit Visualization Client「travic」