時間帯による公共交通空白とはなんですか?

担当:福本雅之(合同会社萬創社)

路線図で見ると市内全域がカバーできていると思うのだけど・・・

時間帯によってはカバーできていないところがあるかもしれませんよ

時間帯によって空白は変わる

 こちらの記事の公共交通空白地域についての解説でも少し触れていますが、路線図で見るとカバーできているように思えても、各路線のダイヤを見ると、時間帯によっては公共交通が使えない地区が存在するという例は多くあります。

 例えば、図-1の公共交通ネットワークを見てみると、すべての路線を合わせると、市内全域が概ねカバーされているように見えます。

 しかし、図-2を見ると、夜の10時に駅から帰ろうとしたときには、バスでは行けない地域があることに気づかされます。

図-1 市内を運行する鉄道・バスの全路線(愛知県一宮市の例)
図-2 夜10時に駅から各地区へ運行している鉄道・バスの路線

 公共交通空白地域や公共交通カバー率を把握する場合、たとえ1日(あるいは週に)に1便でも運行されていれば、カバー率の算出に含めてしまうということをやりがちです。しかし、公共交通の利用可能性を把握する際には、「バスが走っているかどうかではなく、”使えるバス”が走っているかどうか」がより本質的に重要であると言えます。

 このため、バスマップを拡げて地図上で各地区にバスが走っているかどうかを確認するだけでなく、ダイヤも含めて確認を行い、「使えるバスが走っているかどうか」を把握することが必要です。

 その際には、町の中心部から何時まで帰ることができるのか(終バスの時間)、といった視点を持つことや、各地区から中心部にでかけて用事を済ませて帰ることができるようになっているのか(別記事で紹介している「行ける・行けない分布表」の作成も参照)、あるいは昼間時間帯でバスの運行が数時間空いていないかを確認するという視点を持つことが有効です。