市で運行しているバスを市のホームページ以外で、利用者にインターネットを通じて伝える方法はないだろうか?
経路検索サービスを利用すると、電車などの他の公共交通機関と共にバスの案内も出来ますよ。
経路検索サービスとは
利用者が目的地や出発地、出発時刻を指定して検索を行うと、条件にあった公共交通機関を利用した移動経路が表示されます。文字だけの案内ではなく、Google Mapsのように地図上のルート案内と一体になったサービス(地図サービス、地図アプリ)もあります。カーナビが車での移動経路を調べるのに特化しているのに対して、経路検索サービスは公共交通機関を利用した経路を調べられる事が特徴です。
外出時に、経路検索サービスを利用して移動手段を検索する比率はスマホの普及とともに年々高まっており、今後も増加が見込まれます。最近では、実際にバス等の交通手段の路線があるかどうかではなく、「経路検索サービスに情報が掲載されているかどうか」が、利用者にとって移動手段を決める重要な判断基準となってきています。
サービスの種類
経路検索サービスは各コンテンツプロバイダ(CP)から提供されており、スマホにアプリをインストールして使うもの、WEBブラウザで利用できるもの、利用料が無料のもの・有料なものなど種類があります。
検索対象の交通手段が一部の手段に限られているものや、一部地域の案内に特化しているものもあります。以下に代表的なサービスの事例を掲載します。
代表的な経路検索サービス(地図サービス)の事例
サービス名 | 運営会社 | 検索対象エリア | サービス利用料 |
---|---|---|---|
駅すぱあと 等 | (株)ヴァル研究所 | 国内全域 | 一部機能は有料 |
駅探 | (株)駅探 | 国内全域 | 一部機能は有料 |
NAVITIME等 | (株)ナビタイムジャパン | 国内全域 | 一部機能は有料 |
乗換案内等 | ジョルダン(株) | 国内全域 | 一部機能は有料 |
Yahoo!路線情報 等 | ヤフー株式会社 | 国内全域 | 無料 |
Google Maps | Google Inc. | 全世界 | 無料 |
Apple Maps | Apple Inc. | 全世界 | 無料 |
掲載されている公共交通機関の情報
各サービスにより異なります。
- 鉄道
- 前項に掲載した代表的なサービスでは、国内の鉄道については全国の路線に対応していますが、臨時便や突発的な減便の対応には差があります。
- 前項に掲載した代表的なサービスでは、国内の鉄道については全国の路線に対応していますが、臨時便や突発的な減便の対応には差があります。
- バス
- 経路検索サービスによって対応している事業者や路線が異なります。基本的に定時運行されている路線が検索対象となり、オンデマンド形式のバスは検索対象としていないサービスもあります。
- 詳細は国土交通省の静的バス情報フォーマット(GTFS-JP)仕様書でご確認下さい。
- 一部道路混雑等による遅延情報に対応しリアルタイム検索を実現しているサービスもあります。
- 空路
- 鉄道と同様、前項に掲載した代表的なサービスでは、国内の定時運航路線については対応しています。
- 臨時便や突発的な減便の対応には各サービスで差があります。
- 航路
- 経路検索サービスによって対応している事業者や路線が異なります。
- タクシー
- 今までは、経路検索サービスの検索対象には含まれていませんでしたが、乗用タクシーの経路と他の公共交通機関の経路を組み合わせて案内できるサービスが幾つか出てきました。
- 乗合タクシーについては、各地域で行われる実証実験等で一時的に検索対象となるものもありますが、まだまだ事例は少ないです。
- その他の移動手段
- 乗り捨て可能なシェアサイクルを検索対象に含めるサービスが登場してきました。
情報の掲載とデータの提供方法について
運営している交通手段が経路検索サービスに掲載されていない場合、各CPにそれぞれ掲載を依頼する必要があります。掲載を依頼する際には、各CPへ自分たちが運営する公共交通機関の運行データ(停留所名・路線・運賃など)を提供する必要があります。(提供データの形式等については、別の記事で説明いたします)
データは初回対応時に提供するだけでなく、ダイヤ改正・路線変更・停留所名変更等の変更時にも提供が必要となります。提供が行われないと古い情報が各サービスに掲載され続ける事となり、公共交通機関の利用者に混乱を与えてしまう可能性があります。 データの提供方法は2種類あり、1つは改正毎に各社へメール等で送る方法、もう1つは、オープンデータとしてホームページに掲載しておき、それらをCPに取得してもらう方法となります。
データの提供は負担になりますが、利用者がインターネットを通じて移動手段を調べる事が多くなっている昨今では紙の時刻表を作成するのと同程度、他の地域から訪れる方を対象とする場合にはそれ以上に、重要な業務となってきます。
参考資料
国土交通省 経路検索の充実とバスロケデータの利活用 ~標準的なバス情報フォーマットの拡充~
国土交通省 技術資料(仕様書、ガイドライン)
GTFS-JP
(株)ヴァル研究所 諸星賢治氏「多様化する経路検索サービスにおける利用者ニーズへの対応」