担当:土井勉(一般社団法人グローカル交流推進機構)
「公共交通のトリセツ」で使い始めた「送迎人生」というコトバはインパクトが大きく,様々な機会に取り上げられることが多くなってきました.
送迎について交通計画的に捉えると,どれだけのトリップ数=交通量が発生し,その時間帯とODは?という捉え方になります.私たちは,こうした数値情報=交通量をもとに交通政策を考えてきました.ここで送迎の問題を交通量で考えるということは,例えば駅への送迎(キス・アンド・ライド)が行われている場合に,駅前広場において円滑な自動車の動線を考えたり,停車エリアをどこに整備するのか,という検討を行うことになります.これまでの交通政策の蓄積の出番ですね.
一方,送迎の問題は交通量だけでなくその中身を考えることも重要だと感じることが増えてきました.送迎を交通量だけでなく,送迎をしている人,送迎をされている人の気持ちに寄り添うことで住みやすいまちづくりを行う視点を重視する考え方が「送迎人生」というコトバに込められています.
もちろん,送迎を家事として立派に成し遂げてきたことで誇りを持っている年配の人たちもおられます.あるいは,送迎の時間は家族との会話をする極めて貴重な時間だという人たちも少なくありません.
しかし,2025年に山陽新聞社が実施した送迎についての調査では,送迎している人たちは,送迎そのものを肯定しつつも「負担感」は7割程度の人たちが感じているとのことが明らかになりました.送迎は家族のために必要な家事なので,しっかりと送迎を行うことは大事なことだと認識されているのだけれども,実際に送迎を行っている人たちの負担感が見える調査結果でした.
送迎人生についての新聞記事を読まれた中学生の方が感想文を書いて下さいました(図-1).この感想文は岡山市長賞を受賞されています.
ここでは送迎について,送ってもらう立場からの様々な気づきが丁寧にまとめられています.さらに,送迎の負担を減らす方策についても提案をされています.
こうした中学生の方からのご意見を踏まえて,住みやすい地域をつくることがわれわれ大人の責任だと実感しています.
なお,この新聞記事については山陽新聞社から転載の許諾をいただいています.

図‐1 山陽新聞2026年2月20日 朝刊

