Webサイトを訪れる人の顔を見ていますか?

担当:諸星賢治(合同会社MoDip)

担当者
担当者

町の施策をPRするためにWebサイトを作ってみましたがアクセスが増えません。誰がWebサイトを見ているのでしょうか。。。

天の声
天の声

Webサイトを訪れる人がどのような情報を求めて訪てれてきているか、公共交通トリセツのアクセス分析を通じて学びましょう。

アクセス分析するきっかけが大切

昨年度のJCOMMで発表したポスター

 既に参加申し込みをされた読者の方も多くいらっしゃると思いますが、今年も9月に日本モビリティ・マネジメント会議(通称:JCOMM)が札幌で開催されます。私たち公共交通トリセツもここ数年ポスター発表を行い、その題材として1年間のアクセス分析を行っています。今回はその工程を一部お見せする事で、Webサイトの簡単な分析方法を紹介したいと思います。 なお、アクセス分析は商品を販売するECサイト等であれば毎日実施した方が良いかもしれませんが、それ以外のWebサイトであれば1週間、1か月、季節単位、1年など無理のない範囲で実施する事をお勧めいたします。公共交通トリセツは1年に1度行われるJCOMMが良いきっかけとなっています。

用語の解説

 Webサイトの分析に挑戦しようと、自分でインターネットや専門書を調べてみたものの、専門用語の多さに戸惑い、途中で挫折してしまったという方も少なくないのではないでしょうか。今回の記事では、そうした方のために、よく使われる用語の解説をします。

  • ユーザー
    Webサイトに訪れてきた人。ブラウザ単位で識別されるため、同じ人が異なるブラウザ(ChromeやEdgeなど)や、デバイス(PCやスマホなど)でWebサイトにアクセスした場合、別ユーザーとして扱われることもあります。
  • 訪問回数(セッション数)
    特定期間内にユーザーがWebサイトを訪れた回数。1ユーザーが1日に複数回アクセスすれば、その都度カウントされます。ただし、同じユーザーでも別の時間帯に再訪問したり、一定時間操作がなかった場合(通常30分)には、別の訪問(セッション)としてカウントされます。
  • ページビュー数(PageView数・PV数・閲覧数・表示回数)
    ユーザーが閲覧したページの総数。1回の訪問で3ページ見れば、ページビュー数は3となります。
  • ユニークユーザー数(UU数)
    特定期間内にユーザーがWebサイトを訪れた回数。1ユーザーが複数回アクセスしても1とカウントされます。
  • アクセス数
    PV数と同じように使われることも多いですが、訪問回数という意味合いが強いため、PV数よりもセッション数に近い指標です。ユニークユーザー数を表すこともあるため、業務で利用する場合には明確な意味を定義する必要があります。
  • イベント数
    Google アナリティクスなどで用いられる用語です。イベントとは、Webサイトやアプリにアクセスしたユーザーの行動のことを指します。ユーザーが行うページの表示やスクロール、リンクのクリックなどさまざまな動作が対象となり、イベント数と言った場合には、その全ての動作が含まれます。
  • 滞在時間
    ユーザーが1回の訪問でサイト内にとどまった時間です。長いほど、関心を持たれている可能性が高いです。
  • 流入経路
    ユーザーがどこからWebサイトに来たか(例:検索エンジン、SNS、直接入力、他サイトのリンクなど)を指します。
  • ユーザー属性
    Webサイトにアクセスした人の年齢層、性別、地域、使用デバイス、ブラウザなどの情報です。

分析に利用しているツールの一例

Google Analytics(アナリティクス)

 ウェブサイトに訪れたユーザーの行動を分析するためのツールです。訪問数、ページビュー数、滞在時間、流入経路、ユーザー属性など、サイト内での動きや成果を把握するのに役立ちます。

Google アナリティクスの画面

Google Search Console(サーチコンソール)

 Google検索におけるウェブサイトの表示状況や、検索結果でどのようにユーザーに見られ、クリックされているかを確認するためのツールです。たとえば「どの検索キーワードで表示されたか」「何回クリックされたか」「検索結果の何位に表示されたか」などが確認できます。

Google Search Consoleの画面

Bing Webmaster Tools(ウェブマスターツール)

 Google Search Consoleと似た機能を持つツールで、Microsoftの標準ブラウザであるEdgeなどを通じて行われるBing検索における、ウェブサイトの表示状況などが確認できます。

Bing Webmaster Toolsの画面

ツールで確認できる数値とそれを用いた分析

公共交通トリセツの総PV数と人気があるページは?

 Google アナリティクスの画面で確認ができます。例えば2024年8月1日~2025年7月31日までのPV数を確認したところ290,724件でした。グラフを見ているとイベント数やPV数の少ない日が定期的に現れ、年末年始で大きく数値が落ち込むのが確認できると思います。

Google アナリティクス「イベント数の推移」

 次にページごとのPV数(表示回数)を確認してみましょう。

Google アナリティクス「表示回数の推移: ページ タイトルとスクリーン名別」


 この1年でTOPページを除き一番アクセスが多かったのは「福祉有償運送とはなんですか?」だった事がわかります。この記事が公開されたのは2021年7月25日でした。一般的なブログサイトでは、新しい記事ほど多くアクセスされやすい傾向がありますが、公共交通トリセツの特徴として、必ずしも新しい記事ではなく、過去の記事でもユーザーが探している情報であればアクセスが増加する傾向があります。

順位タイトル公開日PV数
1福祉有償運送とはなんですか?2020年5月23日10,504 
2今更聞けない!?移動手段ってどんな種類があるの? [一部更新]2021年7月25日10,175 
3GTFSってなんですか?2020年10月25日8,496 
4どうしてバスの運転手が不足しているの?2020年11月5日7,784 
5巷で話題の「ライドシェア」、実は2つの種類がある!?2022年8月15日7,393 
6バスを走らせるときには、どのような費用が必要ですか?2024年10月15日7,205 
7LRTとBRTはどちらが優れていますか?2020年9月15日6,920 
8交通量の予測方法2021年8月25日6,514 
9今さら聞けない!「道路運送法」の事業区分2021年5月15日6,273 
10【コラム】Googleマイマップ活用のススメ2025年2月15日5,905 
11【コラム】台湾訪問記(後編)2021年6月5日5,632 
12地域公共交通会議と法定協議会の違いはなんですか?2023年11月5日5,073 
13自家用有償旅客運送ってなんですか?2021年1月5日5,033 
14オンデマンド交通とはなんですか?2020年8月15日4,737 
15路線バスの2024年問題ってなんですか?2020年6月15日4,647 
16公共交通空白地域とはなんですか?[一部更新]2023年6月15日4,565 
17GTFSデータとQGISを使って運行頻度路線図を作ろう!2023年8月15日4,217 
18公共交通が環境に良いってどういうこと?2022年2月15日3,887 
19コミュニティバスとはなんですか?2020年5月25日3,837 
20公共交通空白地域とはなんですか?[20250405一部更新]2020年9月5日3,785 

交通トリセツを見に来ているのは、どんな方が多い?

 Google アナリティクスの画面を見ていると、一般的なWebサイトと比べて、公共交通トリセツの利用実態には特徴がある事が分かります。ユーザーはどのような方が多いのか推察してみましょう。

ブラウザ
Google アナリティクス
「アクティブユーザー(ブラウザ)」

利用ブラウザはChrome>Egde>Safariの順で多い
→最近は一般的なWebサイトだと、スマホからの閲覧が多く「Safari(in-app)」や「Safari」「AndroidWebview」などが多くなると言われていますが「Chrome」や「Edge」からのアクセスが多くなっている。

デバイス カテゴリ
Google アナリティクス
「アクティブユーザー(デバイスカテゴリ)」

DESKTOPの数値が、MOBILEより多い。
→一般的なWebサイトだとスマホ等の携帯電話ユーザー数(MOBILE)が、PCユーザー数(DESKTOP)を上回る事もあるが、公共交通トリセツはPCユーザーの利用が多い。

画面の解像度

Google アナリティクス
「アクティブユーザー(画面の解像度)」

画面の解像度は「1920×1080」など数値大きい端末から見られ、サイズの小さい画面からの閲覧は少ない。
→スマホからの利用より、PCからの閲覧が多いことがわかる。

オペレーティングシステム(OS)
Google アナリティクス
「アクティブユーザー(オペレーティングシステム)」

「Windows」が圧倒的に多い。
→他の数値も勘案し総合的に考えると、WindowsのデスクトップPCからのアクセスが多いことが推測される。

イベント数(月単位) ※2024年8月1日~2025年7月31日
Google アナリティクス
「アクティブユーザー(オペレーティングシステム)」

毎年秋ごろ(9月~11月)にかけてアクセスがピークとなる。3月に一番アクセスが少なくなる。
→サイトを閲覧している方は、3月末に公共交通トリセツに情報を探しに来ることが少なくなる?

イベント数(日単位) ※2025年7月1日~2025年7月31日
Google アナリティクスの画面

週単位のアクセス状況を見ると、平日が多く、土日は少ない。
→平日、職場等で公共交通トリセツを見に来ている方が多い事が推測される。

曜日・時間帯別PV数 ※2025年7月1日~2025年7月14日
Google アナリティクスから出力したデータをエクセルで加工

平日の9時~17時台までのPV数が圧倒的に多い。12時台はPV数が少なくなる傾向がある。
→役所や企業等の就業時間で見られることが多いと推測される。

分析結果の答え合わせ

 一部の有料アクセス解析ツールを利用することで、どのIPアドレス(インターネット上の住所)からWebサイトにアクセスがあったかを確認することも可能です。実際にそのようなツールで得られたデータは、これまでGoogleアナリティクスの数値を基に行ってきた分析結果と概ね一致していることが確認できました。

マーケティングオートメーション(MA)ツール
BowNow」を用いたWebサイト状況の確認結果

公共交通トリセツのWebサイトを訪れる理由は?

 Webサイトを訪れる方にインタビューを行うのは中々難しく、分析ツールからヒントになりそうな情報を探してみます。
 Google アナリティクスの中には、Webサイトにどこを経由して訪れてきたか確認する情報が記録されています。公共交通トリセツでその情報を見ていると「Organic Search」というところを経由して訪れてきている方が多い事に気づかされます。「Organic Search」とは、検索エンジン(Google、Yahoo!など)の検索結果に表示されるWebサイトのリンクをクリックして流入したユーザー(広告枠を除く)を指します。
 また、さらにGoogleアナリティクスを深く見てみると、検索エンジンの中でGogoleが約6%、MicrosoftのBingとyahooが約13%を占めている事が分かります。

 つまり、公共交通トリセツの場合には、ユーザーがどの検索ワードを指定してWebサイトを訪れてきたかが確認できれば、ユーザーが公共交通トリセツにどのような情報を期待しているのかがわかりそうです。別のツールを使い、その検索ワードを探ってみましょう。

公共交通トリセツを訪れる際に指定される検索ワードは何が多いか?

 Webサイトに流入してきた際にユーザーが指定した検索ワードは、冒頭に紹介したツール「Google:Google Search Console」「Microsoft Bing:Bing Webmaster Tools」で確認することができます。

Google検索
Google Search Consoleで確認した
Google検索で指定された検索ワード
Bing検索
Bing Webmaster Toolsで確認した
Bing検索で指定された検索ワード

 上記の表はこの1年の数値をそれぞれのツールから参照したものとなりますが、この結果を見ていると「福祉有償運送」や「gtfs」、「移動手段」などの検索ワードを指定して公共交通トリセツのWebサイトにたどり着いた方が多い事が確認できます。
 この検索ワードの調査は毎年傾向が大きく変わります。そして、ユーザーが指定する検索ワード=ニーズと判断することが出来るので、ユーザーの傾向がどのように変化しているのかを確かめる一つの手段として利用しています。

さいごに

 今回は、公共交通トリセツで年1回行っているアクセス解析を解説してみましたが、いかがでしたでしょうか。皆さんが運営しているWebサイトも今回紹介した分析ツールを導入する事で、ユーザーの傾向が見えてくるかもしれません。今回紹介したツールは全て無料で利用できますので是非一度お試しください。

参考・紹介したツールの導入方法

 Google アナリティクス、Google Search Console、Bing Webmaster Toolsの3種類のツールを導入したい場合には、まずGoogle アナリティクスの導入を優先してください。
 Google アナリティクスの導入手順は、以下の通りとなります。詳細については、こちらのページを参考にしてください。

  1. Googleアカウントを用意する
  2. Googleアナリティクスのアカウントを作成する
  3. Webサイトの情報を入力する
    ※プロパティ名は分析したいWebサイトの名前を入力
  4. ビジネス情報を設定する
  5. データストリームの設定を行う
    ※Webサイトの分析を行う場合には「ウェブ」を選択し、対象となるWebサイトのURLを入力する
  6. トラッキングコードを設定する
    • HTMLに直接HTMLタグを埋め込む
      Google アナリティクスにて発行したHTMLタグをWebサイトに貼り付けてください。WebサイトにWordPressを導入している場合等には、プラグインなども活用して一括で設定する方法もあります。詳細な設定方法はコチラを参考にしてください。
    • Googleタグマネージャー(GTM)を使う
      少し難しい手順ですが、コチラの方法でも設定が可能です。詳細な設定方法はコチラのWebサイトを参考にしてください。
  7. データが取得できているか確認する
    ※Google アナリティクスの「リアルタイム」レポートにて、アクティブユーザー数が「1」以上の数値が表示されていれば設定は完了です。

 Google Search Consoleの導入時は、Google アナリティクスに登録した情報が利用できます。詳細な手順はコチラをご確認ください。
 最後にBing Webmaster Toolsnoの導入時には、Google Search Consoleに登録した情報が利用できます。詳細な手順はコチラをご確認ください。

参考資料

  • アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ「PVとは?セッション数との違いや確認方法・PVの増やし方まで解説」
PVとは?セッション数との違いや確認方法・PVの増やし方まで解説 - アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ
こんにちは。「AIアナリスト」ライターチームです。 PV(ページビュー)数とは何かを、自社のサイトやブログを運
  • アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ「Googleアナリティクスの導入・設定方法と活用のポイント【初心者向け】 – 」
Googleアナリティクスの導入・設定方法と活用のポイント【初心者向け】 - アクセス解析ツール「AIアナリスト」ブログ
こんにちは。「AIアナリスト」ライターチームです。 Webサイトを作成すると、Webサイトを訪問する人がいるの
  • 初心者のためのブログ始め方講座「【初心者向け】WordPressブログへのGoogleアナリティクス初期設定・設置方法を詳しく紹介」
【初心者向け】WordPressブログへのGoogleアナリティクス初期設定・設置方法を詳しく紹介
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